2023年2月10日、人事参謀は「転職参謀」に改称いたしました。
異動希望 気まずい

異動希望は気まずい。それでも異動希望を出すべき理由を人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

現在の上司と合わないため、社内公募制度を使って異動希望を出そうと考えています。
しかしながら、異動希望が通ったとしても、異動までに2~3か月はかかる見込みなので、気まずいです。
さらに、異動希望により出世や評価に響かないか、元の部署に戻されることはないか等、気になっています。
異動を気まずく思う自分は特殊でしょうか?さらに、上記の状況での異動希望自体はどう思われますでしょうか?

 

今回は、「異動希望は気まずいが、どうしたらよいか」がテーマである。

異動希望における考え方はもちろん、失敗したらどうするか、異動希望や社内公募で異動しても出世できるか、元の部署に戻されることはないか、等についても網羅的に回答する。

 

齋藤
日本に存在する「異動をどうしようか悩む方のための記事」の中で、最も充実した内容になっていると自負しています。
一般的な異動希望と、社内公募制度の両方に対応しています。(考え方は全く同じです)

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、異動希望を出すべきかどうかの結論を出すことができ、さらに異動希望にまつわる多くの不安が解消されるだろう。

 

齋藤
異動希望を出すべきか迷っている段階の方にも、すでに異動希望を出してしまって気まずい思いをされている方にも、どちらの方にも読んでいただきたい記事です。

 

【結論】異動希望は確かに気まずい。それでもやるべき

まず、結論から言おう。

 

異動希望は、確かに気まずい。それは分かる。

しかしながら、それでもやるべきケースがほとんどだと思う。根拠については次項で説明するが、以下である。

  1. 異動は転職と同じく、「今の部署にはいたくない」という意思表明。気まずくて当然
  2. 異動では、転職より低いリスクで転職と近い効果を得られる可能性がある
  3. 転職と違い、異動は最後の手段ではない。失敗しても転職がある

 

【根拠】異動は転職に近く、気まずくて当然。転職と違ったメリットも

異動は気まずくて当然

異動が気まずいのは、当然である。

異動とは、「今の部署は嫌だ」もしくは「別の部署の方がいい」という意志の表明なのだ。そういう意味では、「転職」と全く同じ方向の意思の表明なのである。

 

転職を表明しても、退職までの期間はやや気まずいだろう。しかしながら、もう関わらないので我慢できる。

 

異動も同じだ。異動までの期間はやや気まずいだろう。

ここで問題なのは、異動では部署同士の関係性によって、異動後も引き続き関わる可能性があるということだ。

 

残念ながら、この気まずさを完全に解消することは出来ない。しかし、緩和することはできる。

 

後ほど述べるが、この気まずさを緩和するためには、「異動の理由を前向きに説明する」ということが重要だ。

人事として筆者は、異動した社員が、これによって「元職場との人間関係を維持する」ことに成功したケースを多く見てきた。ぜひ検討してほしい。

 

齋藤
中小企業なら、異動しても異動前の部署と密接にかかわらなければならず、非常に気まずいケースもあるでしょう。
そうなってしまうといきなり転職を考えるのもアリなのですが、基本的に「一定以上の規模がある会社であれば、転職より先に異動を検討すべき」だと思います。

 

異動では、低リスクで異動と同じ効果が期待できる

前項では、異動が気まずいと認めたうえで、「それでも検討の余地がある」と述べた。

その理由の一つに、異動では、低リスクで異動と同じ効果が期待できるというものがある。

 

【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢」という記事において、「異動では、転職と同じくらい多くのことを解決しうる」と書いた。

具体的には、以下のような(転職により解決しうる)悩みが、異動でも解決しうる。

  • やりたい仕事がある
  • 人間関係が悪い
  • 幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい
  • 単純作業やムダな業務が多く、つまらない
  • 働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい
  • 飲み会やイベントがくだらない
  • 評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)
  • 著しくヒマである
  • 著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)

 

会社が変わらなくとも、上司や組織が変われば、悩みの多くが解決しうるのだ。

しかも、転職と異なり待遇や制度、業種等、全く変わらないか、あまり変わらない要素も多く、低リスクである。

 

異動は最後の手段ではない。失敗しても転職がある

とはいえ、異動も失敗しうる。失敗したらどうするのか。

 

この答えこそ、転職である。

異動の良いところは、異動に失敗しても転職という手段が残されていることである。2段構えの戦術なのだ。

 

転職を含め、異動に失敗した際の対策については、次の次の項(「【失敗への対策】円満異動と転職が二本柱。ただし転職は準備が必要」)で詳しく解説してゆく。

 

【懸念解消】出世は出来るし、元の部署に戻されることはない

異動に失敗したときの対策の前に、異動にまつわるよくある懸念を解消しておこう。

以下の2つである。

  1. 異動願いを出したり社内公募制度を使ったりしても出世できるか?
  2. 異動に失敗し、元の部署に戻されることはないか?

 

異動願いを出したり社内公募制度を使ったりしても出世できるか?

まず、出世や評価に響くのかどうかについてである。

結論から言えば、響かない。

 

もちろん、全く違う仕事になったことで実際に(初期の)パフォーマンスに影響し、それで評価が下がることはある。

しかしながら、このケースでは、新しい仕事に慣れれば元の評価に戻り、さらに評価を上げ、出世していくことも可能だ。

 

実際に多くの人が心配しているのは「不当に悪く評価されたり、これ以上出世できなくなったりしないか」ということであろう。

 

これについては、「自分次第で、評価もされるし、出世もできる」といえる。

その理由は以下である。

  • 異動希望や社内公募等が機能しているという時点で、ある程度は人事が機能している会社だと思われる。人事が「異動したから不利に扱う」ようなブラック企業ではない可能性が高い
  • 異動した後では評価する上司陣が変わり、いったん今までのレッテルはリセットである。これからの働きによって、評価も出世も決まる
  • 上司というものは、「前の部署ではダメだったらしいが、自分のところに来て復活した」と自慢したい生き物である

 

異動に失敗し、元の部署に戻されることはないか?

「元の部署に戻されることはないか」という心配をする方もいるだろう。

これについても、基本的には「ない」と言える。

 

先ほども述べたが、異動希望や社内公募等が機能しているという時点で、ある程度は人事が機能している会社だと思われる。

そんな中で、「異動先であまり使えなかったから」「合わなかったから」といって、居心地が最悪であることが分かっている「元の部署に戻す」という人事異動をやることは通常考えられない。

 

齋藤
もちろん、本人の希望があれば別です。

 

【失敗への対策】円満異動と転職が二本柱。ただし転職は準備が必要

異動の失敗への対策は、2つある。

 

一つは、円満異動を演出すること。

円満退職と同じだが、前向きな理由で異動すれば、その後の気まずさも減るので、おすすめである。

 

齋藤
「別のスキルを身に着けたい」「○○(異動先の職種や事業)に憧れがあった」など、前向きな理由だけを社内で(上司や人事だけでなく、同僚等にも)伝えるのが重要です。

 

もう一つの対策が、転職である。

極端な話、異動に失敗したら転職すればよい。

 

実際、筆者が面接官として面接した転職活動中の方々の中にも、異動直後の方は多かった。

 

齋藤
その場合の転職理由としては、「異動まではよかったのだが、異動後の仕事が合わなかった」が王道です。

 

ただし、転職には制約がある。

それは、「転職したいときにすぐ出来るとは限らない」というものである。

 

どんなブラック企業に転職してもいいのであれば即時に転職可能だが、普通は「自分にとって最善の」会社を探そうとするだろう。

 

それには、時間がかかる。

自分が転職したいときに、自分が転職したい業種、職種、社風、待遇、タイトル(職位)のポジションが空いていることは少ない。

 

だから、前準備が必要なのだ。

そして、前準備とは、転職エージェントや転職SNS(Linkedin)に登録しておくことだ。

 

自分にとって最善の会社に転職するには、「良い転職エージェント」に出会ってから、最低でも1~2か月がかかる。

さらに、当然ながら、「良い転職エージェント」に会うのにも時間がかかる。

 

だから、転職が頭によぎった時点(異動の前)で、良い転職エージェントを探してストックし始める(溜め始める)と非常に有利なのだ。

筆者はこれを「ゆるゆる転職」と名付け、強くおすすめしている。

>>転職がめんどくさいという方へ。ゆるゆる転職のススメ。

 

まとめ

異動を考えているのであれば、気まずさに負けず異動希望を出したほうが良い。

その際には、前向きな異動の理由を戦略的に言いふらし、失敗したときのために転職の準備も整えておくことが「保険」になる。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

  • リクナビNEXT年収800万円未満の場合。日本最大級の公開求人を掲載、エージェントも豊富
  • JACリクルートメント 年収800万円以上の場合。大手および外資系を中心に、日本最大級の非公開求人を保持

 

人材企業の最大手リクルートが運営するリクナビNEXTは、年収が800万を超えるまでは万能の転職サイトだと言える。(それ以上の年収帯では案件が減る)

掲載求人が豊富なだけではなく、リクナビNEXTには多数の転職エージェントが参加しているため、網羅的に求人を探すことが出来る。

 

JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

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